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古く美しいものからたどり着いた、どこにもない器 【陶芸家 故金あかりさんインタビュー後編】


夏のはじめ、REFACTORYantiquesのイベント "花と器"に向けて制作を依頼した陶芸家 故金あかりさんを、暮らし相談デスクチームで訪ねてきました。


このインタビューの内容を2回に分けてお届けします。


今回は、企画で制作をしていただくアイテムについて伺ったお話をお届けします。



絵画の中から取り出したような、幾つもの色が重なった故金さんの壺。

どのようにして生まれたのか伺ったら、真似ができないような器をつくりたいと思ったことがきっかけなのだそう。


「市販品である釉薬(器の仕上げに使う材料)は、ブレンドして自分のカラーを作るものの、近い仕上がりの作品が作りやすいイメージがあり、違った表現を探したいと思いました。


元々古いものがとても好き。ローマングラスにインスピレーションを受けて、顔料を加えた泥を重ねる方法にたどり着きました。」



ローマ帝国時代に作られたガラス製品であるローマンガラスには、風化によって金属のような輝きを持ったものが存在します。複雑な色味に、まさに故金さんの器とも近しい印象を受けました。




作業を見せていただいたところ、スポンジにつけた顔料を、ポンポンと器にのせて色づけをされていました。


「色を重ねて育てていくようなイメージでつくっています。壺の素地も色として活かしながら色を重ねているので、奥行きを感じるかもしれません。」



焼き上がりが違うと感じたときは、再度色を重ねて焼き直す。触り心地を大事にされていて、鋭い触感が気になる部分はひとつひとつ削り落とす。地道な作業も毎回組み込まれています。


美しい器ができるまでには、丁寧な制作も重ねられていました。



今回のテーマについて、故金さんも楽しみにしてくださっていたそう。


「制作した壺を花器として使っていただくことはありますが、花器をテーマにして制作をするのは初めてです。大ぶりな枝物をいけていただくことが多いので、お花が飾られるとどういう風に見えるんだろうと、楽しみにしています。」


インタビューに合わせて、故金さんの花器に花をいけてくださるLa.mongtane 下山さんからは、花をいけやすい花器についてお伝えしていただき、あとは彼女のスタイルで考える、花のための器をお願いしてきました。




REFACTORYantiques 渡邉さんの発案で、ランプシェードもお願いできることに。


「ランプシェードもやってみたいけれど、チャレンジできなかったものの一つ。


作品内容や見せ方も自分で提案できる個展を中心に活動していますが、幅を広げるためにオーダーアイテムも少しずつ取り組んでいきたいと思っていたので、嬉しいです。」




工房に着いた瞬間、発送を待つ完成品たちが迎えてくれて、とてもわくわくしました。でも、彼女のこれまでの積み重ね、制作方法、たっぷりお話を伺い、今はいっそう尊いものに感じています。



少し前の故金さんの器と、今の彼女の器。基本的な制作スタイルは同じですが、色味や質感は少しずつ違います。


今しか出会えない故金さんの花器、ぜひ見に来ていただけたら嬉しいです。

 

故金さんの花器を展示するイベント


花と器

10/7(土) 11:00〜18:00 REFACTORY antiquesにて

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